語学習得に必要なこととは何か?について、掘り下げて考えてみました。
それを知ることは、目を引く広告の信ぴょう性を評価するために役立つ
○○メソッドとか、○○するだけで、とかいろんな宣伝文句で広告を出している英語教材が氾濫して、真剣に英語学習法に悩んでいる人を誘惑します。ここらでちょっと、そもそも語学習得に必要なことって何だろうと考えてみると、いろいろ見えてくることがありました。
学生時代から英語が得意な人が思う「語学習得に必要なこと」 一例
今回は『英語は「多読」中心でうまくいく!』というタイトルの本を読んでみました。
著者は学生時代から英語が大好きで、高校生のときアメリカに1年留学しました。大学でも英語を学んで、これまで英語講師や学校の英語教諭をされてきた方です。その著者が考える、「英語を習得するために必要なこととは何か」を、ちょっと覗いてみました。
留学から日本に戻って、スピーチコンテストに参加、優勝経験あり。大学は英文科。私の学生時代と雲泥の差があります。勉強家すぎて、ちょっと馴染めないところがあったというのが正直な感想。文章もなんとなく読みにくかったです。すっきりと整理された文章ではなく、語り口調っぽかったからかもしれません。(ちょっと辛口な感想も書いてみました。)
学校での英語学習を大切に 楽に習得は無理
その著者が考える英語学習法とは。まずは学校英語を粗末にしないと主張されています。学校英語では英語を使えるようにはならないと言う人達がいるけれど、著者は改良は必要と感じるが、学校英語は大事であり、しっかり基礎を学ぶべきと考えているようです。
文法もまた同じ。文法と聞くだけで拒絶する学生がいるが、文法なしでは英語の上達はムリだと述べています。
英会話教室や流行りのメソッド、教材などがあるけれど、それだけで英語が使えるようにはならない。語学の習得はそんな楽なものじゃない。簡単にはいかない。英語が堪能な人は、そうなるまでに膨大な時間を使って努力を重ねてきたのだと書かれていました。
英語おちこぼれだった私には、あまりに厳しすぎる
どれも否定するつもりはありません。基本的には間違っていないと思います。私も学校の授業についていけたら、きっと同じことを言っていたと思います。英語を使えるようになった今だからこそ、著者の言ってることがわかります。
けれど私は著者の言ったとおりの方法では英語を習得していません。学校の英語の授業についていけなかったし、社会人になってからも、学校の教科書や文法書を見ても理解できませんでした。そりゃ、「なにがなんでも!」という気で勉強すれば、できたのかもしれません。でもしませんでした。辞書も文法書も使いませんでした。それでもできるようになりました。
学生時代に英語が苦手だった人が思う「語学習得に必要なこと」 一例
誤解のないようにはっきりと書きますが、私も著者のいうとおり、英語の上達に文法は必要と思っています。でも私は文法を身につけるための方法は、学校英語のやり直しとか、文法書をしっかり勉強する以外にもあると思っています。
英語習得に文法は必要だけど、始めに学ぶ必要はない
私の場合は、英語がかなり読めるようになってから文法を学びました。そういう学びの順序もあるということです。今中学・高校へ通っている人は、授業をおろそかにしないでやっぱりちゃんと勉強して欲しいです。
けれども学校の英語についていけなかったとしても、あきらめないで欲しい。学校の英語についていけなかったとしても、それは学びの順序や方法があなたの好みに合わなかったと思えばいいだけです。それが私の言いたいことです。
英語を習得する人は、英語に膨大な時間をかけているのが普通
著者は幸運にも英語が大好きで、学生時代の勉強に費やせる時間に、たくさん英語の勉強をされました。それが著者の英語の基礎になっていると思います。
著者は英語は留学したからと言って身につくものではないということを、他の人々の著書などからも引用しつつ、著者の経験からもそう感じるということを述べています。それはもう膨大な時間を費やして、英語を習得しているのだと。私も全くそのとおりだと思います。
英語を習得した人に共通した考え方 一例
次に英語が学生時代から得意だった人と、学生時代は英語が落ちこぼれでも、今は英語を習得している人との共通点をあげてみたいと思います。
楽しむことが成功のカギ! 膨大な時間をかけることは、努力とは関係ない
その膨大な時間は、苦しい努力を伴うかと言えば、必ずしもそうではありません。私は楽しくて仕方がないです。著者もおそらくそうでしょう。要は、自分が楽しいと思える方法で、英語の習得に時間を費やすかどうかです。
成功した人と同じ方法が、自分にも合っているかは自分にしかわかりません。だからピンときた方法に出会ったら、とにかくやってみて欲しいです。でも忘れちゃいけないことは、「ラクに」英語が身につくわけではないということです。
著者は本書で多読について、こう述べていました。<要約です>
多読は英語の習得には必須。留学するよりも多読の方が得るものが大きかった。英語の習得には絶対必要な大量の英語をインプットすることができ、多読3原則に従い興味の赴くまま多読することにより、楽しみながら語彙習得もできる。
苦しい暗記は不要 楽しいから自然に脳が記憶する
著者は暗記は苦手だそうです。それにもかかわらず、たくさんのことを暗記しています。どうしてかというと、繰り返し繰り返し音読したり読み返すうちに、勝手に覚えてしまうというのです。繰り返しやって覚えることは、暗記の方法としては王道ですが、本質が違います。
つまり覚えようとして繰り返しているのではなく、楽しいから繰り返しているのですね。著者と私、具体的にやってきたことは違いますが、本質はとても似ています。
荒っぽい表現ですが、英語の習得に必要なことは、「大量に英語に触れること」です。それにより、必要なことを「暗記」できるし、文法も身につきます。どんな方法を取ろうとも、「大量に英語に触れること」をしていたら、必要なことは全部吸収できるのだと思います。
楽しく繰り返すことができる多読
「多読」はその点でとてもいい方法だと思います。自分が興味の持てる本を中心に多読することで、日常的に大量の英語に触れることができます。英文の中で使われている語彙を覚えることができます。これは無理やり英語と日本語を対にして詰め込みで暗記するのとは、全く違います。
自分から学ぼうという姿勢は必須
そういうわけで、著者の語学習得に対する考え方は基本的に私も同じなのですが、アプローチの仕方は私とは違っています。語学習得に必要と考えている基本は同じ。その基本を元にして、目標に近づく道はひとつだけではないということですね。それともう一つ、非常に共感できる一言がありました。
語学を習得している人が共通して持っている資質は、「自発的」な勉強をしている、という内容の部分。これは著者がある英語の先生の著書から引用されていたと思います。絶対に必要なことです。