理屈抜きで英語の発音が良くなる2つのコツ

英語の発音がカタカナ過ぎて、どうにかして英語らしい発音になりたいと思ったことはありますか?

「英語 発音」というワードで検索すると、日本語と英語の音の違い、口の動き、舌の動きなどなど、細かく丁寧に解説しているすごいサイトがたくさん見つかります。

とても分かりやすいんだけど・・・長い><; 覚えることが多すぎて、読んでいるうちに「これ全部、本当にできるようになるかしら・・・(´;ω;`)ウゥゥ」なんて感じて、途方にくれるかもしれません。

この記事では、それでいいの?というぐらい単純な方法を紹介します。

コツは2つだけ!頭で覚えることも一切なし

私は留学経験とか海外生活の経験はありません。ごく普通の日本人です。学生時代は英語という教科を完全無視していました。

そんな私が大人になってからのやり直し英語でカタカナ英語から脱することができた方法を、わかりやすく整理してお伝えします。発音記号などは一切出てきません。コツはたったの2つだけです。

難しいことは一つもないけど訓練は必要

難しいことを覚えたり、難しいことを練習するのって疲れちゃいますよね。

この方法は何一つ難しい理屈はありません。ただくり返しが必要なだけです。それも「ながら」でよいので、どんなに忙しい人でも、何かしながら練習できる方法です。この方法ができないという場合は、忙しいとか時間がないことが理由ではないはずです。

大事なことなので、初めに断言しておきます。発音を良くしたいと思う気持ちがある限り、常に自分の発音に不満を抱くでしょう。でもその不満は発音を上達させるためには必要不可欠なのです。

したがって今からお伝えする発音の練習方法を実践しても、なかなか満足するレベルに達せない気持ちになるかもしれません。けれどもこの練習法を行うことにより、一歩一歩確実に進歩していることは客観的に見ればわかるはずです。やればやるだけの進歩が得られます。

自分でわかるほどの発音の変化が感じられるまでには、かなりの時間がかかると思いますが、あきらめずにコツコツと続けましょう。そのためには必死になりすぎないことも大事です。できるだけ日常生活の中に組み込んで、淡々と練習するのが継続のコツです。すぐに結果を期待しないことも大事ですね。一つ一つの課題を克服する小さな喜びを感じながら、日々練習あるのみです!

前置きはそのくらいにして、本題に入ります。2つのコツについて説明します。

難しい理屈はいっさいナシ、英語の発音が良くなる2つのコツ

誤解のないようにあらかじめ念押ししておきます。今からお伝えする英語の発音が良くなる2つのコツは、とても単純なことで難しい理屈はいっさいなく、覚えるべき知識もありません。

ただしかなりの練習が必要ですし、時間もそれなりにかかります。英語の発音は日本語の発音とは全く違うのですから、すぐに簡単に手に入るものではありません。だからこそ苦労して身に付けたいと思うし、きれいな英語の発音に魅力を感じるのだと思います。

私は今も発音を良くするための練習を欠かしません。楽しいですよ~。さぁ、今日から一緒に発音練習を始めましょう!

コツ1:英語を音として注意深く聴く

この発音練習では、初めのうちは特に、英語で何を言っているかが聴きとれる必要はありません。というより、聴き取れてしまうとダメなのです。意味のある言葉としてではなく、単なる音として注意深く聴くことです。

英語で何を言っているかがわかってしまうと、無意識に自分が認識している発音に脳が置き換えてしまい、本当の音が耳に入って来なくなるからです。つまりいくら練習を重ねても、発音矯正ができなくなってしまいます。意味のある言葉としてではなく、意味を考えないで単なる音として英語を注意深く聞くことからスタートしましょう。

あまりに簡単でゆっくりはっきり発音してくれる英語の音声では何を言っているか分かってしまうので、この練習法の初期段階には不向きです。ナチュラルスピードや、早口で話している英語の音声が良いです。

あ!それと大事なことがもう一つあります。発音矯正のために英語の音声を聴くときは、スクリプトを見ないでください。スクリプトを見てしまうと、何を言っているのかわかってしまいます。そうなると、自分の知っている音しか耳に入ってこなくなるからです。

練習が終わった後なら、スクリプトを見ても全く問題はありません。むしろ見ることをおすすめします。私は何日間も同じ音声を何十回と(何百回かも?)聞いた後に、スクリプトを見ていました。

コツ2:聞こえた音と同じ音を口から出す回路を作る

次に聞こえた音を、数秒遅れで聞こえたまま自分の口で再現します(シャドーイング)。初めてシャドーイングする人にとって最大の壁は、完璧に真似しようとしてそれが出来なくて挫折してしまうことです。この壁を乗り越えるコツは、初めは完璧にこだわらずにとにかく聞こえてきた音を数秒遅れて口ずさむことです。慣れるまでの間は沈黙だけはしないように、何か音を発することに気をつけてみてください。最初はできなくて当然なんです。大丈夫!続けていれば次第に慣れてきます。

私はこれまで何人も直接指導した経験がありますが、最初から出来た人はいません。でたらめでもいいから声に出すように言うと、なんとか声を出せるようになります。とにかく耳から入った音を何も考えずに口から出す。初めのうちはこの回路を作ることに徹すればいいと思います。

ずっと続けていると、回路がだんだんできます。それが出来るようになったら、耳から入った音が自動的に口から出て来るようになります。一度に全て真似をすることはできません。一つ一つ、真似できる音が増えていくという感じです。ほとんどでたらめの音から、それらしい音を発している割合が次第に増えてくるわけです。

シャドーイングの練習を一日平均でどれぐらいしたか

私がこの練習法を集中的に行っていた時期だと、一日平均3-4時間は練習していました。私は暇人ではなく、会社勤務もしていたし、家事もきちんとしていました。休日は庭の草抜きや家の掃除も何時間もかけて行っていました。一日平均3-4時間の練習を、3-4年は続けていたと記憶しています。もしかしたらもっと長いかもしれません。今は当時ほどはしていませんが、毎日音読と英語のリスニングは欠かさず行っています。

ところで一日平均3-4時間もどうやって捻出していたのかというと、出勤時(バス・電車・徒歩などで移動中)、朝の支度時(着替えやお化粧時)、料理、片付け、掃除などの家事をしているときです。何かしながら練習すると、英語に聴き入ってしまうことなく、無意識に聞こえたままの音を口から出す練習に好都合だったのです。この方法だと、何時間やっても飽きませんし、疲れませんでした。嫌いな掃除も、いつのまにか終わっていて一石二鳥でした!

バスや電車、歩いているときに、よくシャドーイングの練習をしていたのですが、乗り物の中や街中だと声を出しにくいですよね。でも私はこの時間を無駄にしたくなかったので、マスクをして口パクで練習していました。外にいる時間でも耳と口さえ使えたら、どん欲に練習していました。

当時の私の必須アイテムはipod nano、イヤホン、マスクでした。
今の私の発音の基礎を作り上げてくれたのが、ながらシャドーイングです。

発音はこんな風に良くなっていく

この練習法はシャドーイングの中でもプロソディ・シャドーイングと言われています。馴染みのない練習法だと思うので、具体的にどのような感じで発音が変わっていくか、私の例で紹介したいと思います。

数週間後に変化が出始めた

まず最初に変化が訪れたのは、この練習法を始めてから数週間後でした。ところどころに英語らしい音が現れるようになっていると、ネイティブスピーカーに言われました。でもこの時期はまだ、でたらめの英語で大部分がモゴモゴ言っているだけでした。

シャドーイングによる発音矯正を始めた頃、聴き取れないほど速い英語でシャドーイング*をしていました。音源は映画『Back to the Future』のワンシーンです。中でもドクが早口でまくし立てている部分を選んでシャドーイングしている所です。モゴモゴというか、バカみたいです(笑)

*:聴き取れないほど速い英語でシャドーイング をする理由は、英語が聴き取れないと頭の中に文字が浮かばばいため、自分の発音の癖(カタカナ英語)が出るのを防げるからです。

そんなことして意味あるの?と思われた方、あるんです。大ありです。文字(スクリプト)を見てしまったり、何を言っているのかわかってしまうと、無意識に脳みそが自分の知っている音(カタカナの発音)に置き換えてしまうので、発音矯正が非常にしづらくなるのです。モゴモゴいいながらも、まっさらな頭で聞こえたままの音を出す訓練を積むのです。

では実際にモゴモゴというか、バカみたいな、でも真剣に練習している当時の私の音声はこんな感じです。↓

これを公開することに、自分の中でどれだけ葛藤を繰り返したことか(´;ω;`)ウゥゥ

1か月で耳から口の回路ができてきた

1か月経つと、回路ができてきて音声の後に続けて声を出すのが苦なくできるようになりました。それでも聞こえた音を完璧に再現することはできません。もちろん音源のスピードによって異なりますが、速い音源だと再現率は大体ですが10%以下のこともありました。

一旦回路ができると、耳から入った音がほとんど反射的に口から出せるようになります。そうなると何かしながら耳と口だけを使う練習が苦なくできるようになり、気づいたら数時間続けていた!ということもザラになります。

ここまで来たら、あとは生活の中に上手く組み込んで必須アイテムを常に持ち歩き、自動的に練習する習慣を確立するだけです。

聞いてみよう、発音の変化

根気よく続けていき、ときどき自分の声を録音して聞いてみました。実際に録音した声を聞いてみると、自分が思っているよりも出来ていないことに気が付くと思います。がっかりするのはほどほどにして、どこをどうしたらもっと発音が良くなるかを研究する材料にしましょう。

それでは私がこのながらシャドーイングで培った基礎で、どれほど発音が良くなったのか、中学時代(かなり大昔)の私の発音から現在までの発音の変化を聞いていただきましょう。

次の音声ファイルは以下のような内容です。

  1. 中学時代のカタカナ英語
  2. シャドーイングで発音の訓練を始めた頃
  3. シャドーイング練習を始めて1か月経った頃
  4. 2018年6月に録音した音声

1.の中学時代の音声は英語の教科書の音読です。
2.と3.のシャドーイングに使った音源は『多聴多読マガジン vol.2 / 2007 WINTER』の「快読快聴ライブラリ #02 “Toilets Through Time”」(p.45-67)の一部です。
4.は2.3.のシャドーイングに使った素材の同じ部分を音読しています。

発音、変わったのがおわかりいただけましたか?留学や海外生活なし、身近に英語を母語とする親しい人がいなくても、英語を学ぶための大学や専門学校へ行かなくても、毎日英語を誰かと話す機会に恵まれなくても、この程度までなら練習次第でできるってことです。

シャドーイングをするときのポイント

シャドーイングをするときには、イヤホンで英語を聴くのがおすすめです。上の音声はイヤホンを使っていたので、シャドーイングをしていても自分の声しか入っていないので、後で自分の発音をチェックするときも聞きやすいです。

時々自分の声を録音して聞くと、どれぐらい上達したかを確認したり、今の自分の問題点を見つけたりできるので、とてもおすすめです。

発音を良くするために、今私がしていること

上で紹介した発音矯正の方法自体は単純で、覚えなければならない事柄もなく、継続すれば必ずカタカナ発音から脱することができるのですが、最大の難関は継続することです。そこさえ乗り越えられたら、あとは発音が良くなっていくだけ。継続の工夫として私がしたことは、何かをしながらシャドーイングをする「ながらシャドーイング」と、日々の生活の中に入れ込むことです。

私は今も発音向上のための努力をしていますが、シャドーイングをメインに練習はしていません。私がしていることは、毎日音読をすることと、ネイティブのレッスンを受けていることです。レッスンと言ってもYouTubeの動画を見ているだけですが。

シャドーイングによる訓練で、発音を理屈ではなく身体で一通り覚えた後、理論的に学ぶのが私のおすすめです。初めから理論的に学ぶと理解するまでに時間がかかることがあり、理解できても結局はそれを自分の物にするために膨大な時間をかけて練習をしなくてはなりません。

理論・理屈から学び始めると、壁にぶつかった時にあきらめてしまう可能性が高くなるのではないかと思います。やっぱり大人になってから外国語の発音をネイティブ並みにしようなんて無理だったんだ、と逃げるのに都合のよい理由を考えちゃう。

まずはシャドーイングという方法で、見よう見真似(聞きよう聞き真似?)で理屈抜きに発音できるようになりました。その後、自分が無意識に出せている音の出し方を理屈で学びなおすことにより、自分はこの音を出すときにどういう口の動きをしているのかが言葉で説明できるようになりました。理屈がわかって良かったと思う点は、自分の不十分な点を自分ではっきりと認識することができるようになったことです。このことはさらなる発音の向上に役立つと同時に、音の出し方を人にもわかるように説明できるようになりました。だから私は、まずはシャドーイングで一通り発音を矯正した後に理論・理屈を学ぶという順序をおすすめします。特に私のように日本在住で英語環境にない人には、最適の方法です!日本語環境にいると練習の場が少ないので、難しいことを継続する根気がなかなか続かないからです。

ちょうど発音を理屈で学びなおしはじめた時期に、幸運にも知人よりオファーがあり、現在は地元で発音レッスンを行っています。少人数制のレッスンですが、発音上達までの道のりをサポートできればと思っています。受講生の方に「発音を学ぶのって楽しい!もっと上手くなりたい!」と思ってもらえるよう、私も日々発音の向上のために学びを続けていきます。

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