オリジナルのストーリー、語り手が変わって視点が違うとずいぶんと受ける印象が変わってしまうというあのシリーズ。3冊目のご紹介です。
Trust Me, Jack’s Beanstalk Stinks!
洋書のタイトルは『Trust Me, Jack’s Beanstalk Stinks!』。オリジナルは『ジャックと豆の木』ですね。貧しい家で暮らす男の子ジャックが、巨大な豆の木の茎を登り、巨人の家からお宝を盗み出して裕福になるっていうお話でした。オリジナルでは、巨人はとてもおそろしい怪物として描かれていました。
これに対し巨人が語り手のこの物語のタイトル・・・『Trust Me,』とは、なんとも弱々しい印象を与えるではないですか。オリジナルがどんなあらすじだったか、細かいところを思い出せないので調べたところ、お宝は実はジャックのお父さんが所有していたもので、巨人が奪ったとのこと。いくつかのサイトであらすじを調べましたが、お宝の元の有者について言及していないものもありました。
巨人が語り手であるこちらの本、『Trust Me,・・・』の方は、「ジャックが自分(巨人)の奥さんにうまいこと言って、勝手に家にもぐりこみ、自分が寝ている隙にお宝を盗みやがった、コノヤロー」的なストーリーでした。
こちらのストーリーを読むと、ジャックってとても悪い子よ。顔つきも何となく悪そうだし。視点が変わると受ける印象が変わる、事実が違ったものに見える。そんなことを考えさせられるシリーズでした。
お宝の元の所有者が誰かは、この際どっちでもいい^^; 両者の主張に食い違いがあるのならば、法廷でたたかってください(笑)。そもそも事の始まりはお父さんが巨人のものを奪ったってこともありうるので、あっさり決着がつくとは思いませんが・・・。巨人語り手の方のストーリーの最後には、巨人が空からジャックの家が裕福になったのを見ながら、「いつかお宝を奪い返してやる」と言ってますからね。もしかして先祖代々から奪い合ってんじゃないの?って思えてきます。
勝手にわれもこ的邦題をつけていいですか?『嘘じゃないっ あくどいのはジャックのほうなんだ!』
YL 0.9
総語数 655