たった80単語! 読むだけで英語脳になる本だからすぐ使える! すぐ話せる!
本のタイトルは『たった80単語! 読むだけで英語脳になる本だからすぐ使える! すぐ話せる!』です。
え?!本当に80単語で英語脳になれるの?80単語を本に書いているように理解するだけで英語脳になれるのか、それともこの本を読むだけで英語脳になれるのか? その意図するところがわからないまま、興味本位で読んでみることにしました。
「たった○○だけで」の何を信用すればいいか?
仕事柄、話題の英語教材とか英語学習本に目を通すようになり、その上で英語が苦手だった自分の英語学習経験と照らし合わせて思うのですが、「たった○○だけで」とか「すぐ○○できる」なんて言葉は信用ならない。
それ「だけ」で何ができるようになるのか。そこのところを明確に示してくれるのならまだいい。使えるとか話せるとか、大きなこと言われても、どんなレベルなのかもよくわからないです。著者は右脳開発に力を入れている人のようです。
ざっと読んだ私の感想は、目のつけどころ(指摘しているポイント)は良いと思いました。つまり、英単語を意味(言葉、それも日本語)で覚えるのではなく、イメージで覚えることをすすめている点は同感です。
著者は学校での英語教育は、左脳を使いすぎているのではないか、もっと右脳も使うべき、ということを主張しています。私もその点、同じ意見です。
日本人がなかなか英語を話せない理由とは
なぜ日本人がなかなか英語を話せないかという例が、わかりやすく書かれていたので、少しご紹介します。この本の「はじめに」のところに書かれていました。
著者が出会ったアメリカ生まれアメリカ育ちの4歳の女の子が例にあげられていました。一般的に4歳というと、母国語で1,500語ぐらいの語彙を身につけているようです。彼女もそれぐらいの語彙レベルであるとの推測でお話は進みます。
日本では英単語1,500語というと、中学3年間で習う程度の単語数らしいです。
では日本で中学3年間の英語教育を受けた人は、このアメリカ人の女の子ぐらい英語が話せているかと著者は問うています。
答えはNo。なぜかというと、日本では左脳優位な英語教育をしているために、英語ネイティブの女の子のように、とっさに言葉が出てこないのですって。
この本には、右脳を使って単語が覚えられるように、工夫がしていると著者は説明しています。その工夫とは「感覚」、「イメージ」、「右脳的な刺激」を与えることで「ネイティブの語感」を養うというものです。
この本の右脳を使った英語学習法と、私の見解
さてさて、実際どうだろうか・・・・と、右脳的な刺激を与えてネイティブの語感を養うという部分の中身を見てみました。
この本の中から、単語を一つピックアップしてみましょうか。たとえば take。
この単語、この本では「ぐいとつかむ」というイメージで理解すると書いていました。絵もあるのですが、ちょっとした挿絵程度であり、絵でイメージをしっかり焼き付けるというほどのレベルではありませんでした。
「ぐいとつかむ」という日本語の説明がついていて、これをベースにして、いろいろな場面で使われるtakeの表現を例文一文で示し、その日本語訳と、必要に応じてなぜそのような日本語の意味になるかを説明していました。
さらにこの例文が「英語脳になるフレーズ」として、一つの英単語につき20の場面、計20個の例文が載っていました。
以下は私の個人的意見です。
これって・・・単語をイメージでとらえるという発想は素晴らしいのですが、結局意味を日本語で覚えて、例文20文を挙げて日本語の訳つきなんて、他の英語学習本とどう違うのかな・・・と思いました。
確かに右脳開発をしたことがあって、右脳を使うことに慣れている人が見たら、違うのかもしれません。でも私は特別そんなトレーニングをしたこともありませんから、どうやって右脳を使ってイメージで覚えたらいいのか、「方法」というか、「テクニック」を知りません。おそらく多くの学習者もそうではないかと思いました。
この本は使い方にもよるのかもしれませんが、ただ読んでいるだけでは今までの学習法とさほど変わりはないな、と思いました。結局、日本語の意味を読んで、例文を覚えてその意味を日本語で理解するのであれば、今までとなんら変わらないのでは?つまり著者のいうところの、「左脳優位の暗記型の勉強」に陥るリスクが大きい気がしました。
右脳トレーニングに慣れた人が、この本を見るとまた違うのかも知れませんが、英語を習得するために、まず右脳トレーニング法を身につけるなんていう遠回りなことはしたくない。
右脳はどうすれば使えるのか?
右脳って、自分ではっきり意識して使っているわけじゃないから、なんだかよくわからないですね。理論、理屈は左脳、イメージは右脳、と考えるとしたら、右脳を使って英語を読む方法を、私は一つ知っています。
それは、洋書を日本語に訳さずに読んで、イメージで理解することです。要するに私が実践して、効果も実証している「英語イメージ楽読術」。
この本の中身について、Amazonページよりも詳しく紹介した記事を書きました。
右脳を使う「英語イメージ楽読術」とは?
文字通り、英語をイメージでとらえて読んでいく方法です。ユニークな点は以下の3つです。
辞書は使わない、日本語に訳さない
辞書は引かないで、日本語にも訳さないで読んでも話の筋がつかめるくらい、易しくて読みやすい英語の本から読み始めます。
いい加減が大事
「完璧にわかろうとしない」ことが大切です。手間がかからず、面倒くさがり屋さんでも始められます。逆に、わからないところを調べるために手間をかけたくなる衝動を抑える方が大変でしょう。しかし慣れれば誰でもできることなのです。
心から楽しむこと
英語を読みこなせるようになるためには、それこそ呆れるほどたくさんの英語を読む必要があります。膨大な英語を読み、日本語に訳さなくても文頭から読んで瞬時にイメージで理解できるようになるための練習を積むのです。(これが右脳を使って読む訓練です。)大変なようですが、努力はいりません。なぜなら本当に楽しいことは、がんばらなくても継続できるからです。「楽しく読む」ことがこの楽読術そのものなのです。
まとめ
英語の習得を、「勉強」ではなく、楽しい「娯楽」として取り組もうじゃないか!というのが私の考えです。そのためにわからない部分を徹底的に調べるような方法を取るのではなく、もっと適当に、手間をかけずに進めます。そうやって調べることに手を抜いた分、英語を読む量で足りない部分をカバーしていきます。面白くないパートを削って、面白いパートを増やすという発想です。
辞書を使わず、訳さないで洋書を読むようになると、英単語の意味が日本語で頭に入ってくるのではなく、イメージで、それも立体的なイメージとなって入ってきます。これは「すぐ」にできることではありません。何度も何度も違う洋書で違う場面で同じ単語に出会い、そのたびにイメージとして記憶に刻まれていくのです。できるかなと不安になることはありません。私たちは日本語もそうやって覚えたのですから。
イメージ化するのも容易なことではありませんが、継続して英語を読むことで、次第に身についてくるスキルです。洋書を読んでいると、物語の力に助けられて少しずつ英語がイメージでとらえられるようになるのです。
このようにして覚えた英語は、ネイティブに極めて近い語感と言えるのかもしれません。