音読は、英語を伸ばすためによいと聞きます。それはなぜでしょうか。
また「音読は何回すればよいのですか」という質問を受けたことが何度もありますが、実は回数をこなせば効果が現れるというものではありません。やり方次第です。
今回はそのやり方を公開します!英語が超苦手だった私が、どのようにしてここまできたのか。英語が苦手・音読が苦手な人の目線で、英語力が伸びる音読の方法を説明します。
音読はなぜ良いのか
私が良いと実感したことは、英語のリズムがつかめたことです。英語のリズムをつかむとなぜ良いかというと、英語が聞き取りやすくなります。そして英語を口にしたときに、スムーズで口に馴染むためか、記憶にも残り易くなります。
頭で覚えるというよりも、身体で覚えるといった感じです。身体で覚えると反応が速くなるので、英語を話すときも会話がスムーズになるでしょう。
理屈で英語を覚えるというよりも、身体で覚えるという感じです。例えば車の運転を理屈ではなく、身体で覚えるというと、イメージしやすくなりますか?ピアノの弾き方や自転車の乗り方を理屈ではなく、身体で覚えるということと同じです。
英語を伸ばすための音読の方法
音読が良いからといって、なんでもいいからとにかく英語を声に出して読めば英語力が伸びるかというと、そういうわけでもありません。まず、英語のリズムをつかむためには、ある程度正しい発音を身につける必要があります。
私たちは学校で英語を学びましたが、それだけで素晴らしい発音を身につけた人はほとんどいないと思います。学校で学ぶ以外にも、自発的にたくさんの英語に触れなければカタカナ英語のままです。英語らしい抑揚をつけるのも苦手なままですよね。
まさに私がそんな状態でした。学生時代は英語が大の苦手で、音読なんてひどいものでした。一単語ごとに詰まっていました。嘘みたいな本当の話です。だからなかなか先へ進まないのです。もちろん完全なカタカナの発音です。授業中に先生に音読の指名をされることが恐怖でした。
これからご紹介する方法は、そんな私でも楽しみながら継続でき、確実に音読が上達し、おまけに英語力もアップできた方法です。上達するためには継続することが絶対に必要ですが、楽しみながらできるのですから、続けることは簡単です。
では音読のやり方をご紹介していきましょう。
まずは黙読に慣れること
英語が苦手で発音も苦手という状態からスタートする場合、まずは英語をたくさん読む(黙読する)ことから始めます。このサイトで紹介している洋書多読(易しい英語をたくさん読むこと)が最も効果的です。
では、なぜ黙読からなのか。それはスラスラと音読するためには、目が口よりも早く英文を追いかけなくてはならないからです。英語をたくさん読んで先を予測できる力をつけることができれば、なお良いです。暗唱していればスラスラ口をついて出てくると思いますが、暗唱が特別好きという場合以外は、暗記する努力もいるし、なかなかやろうとは思えません。
洋書を読むことに慣れてくると、先を予測する力が自然についてきます。すると英文を追うスピードも必然的に速くなるのです。つまり記憶するという努力をしなくても、ただ楽しんで洋書を読んでいるだけで、読むスピードが速くなってきます。
次に、なぜ洋書、それも易しい洋書(洋書絵本や児童書)なのか。大人なのに、なぜ英字新聞や雑誌などではだめなのか。
それは忙しい生活を送っていても隙間時間を利用して英語を読むには、短くてすぐ読めて簡単な洋書絵本がおすすめだからです。
洋書は幼児向けの易しい絵本から大人向けの難しい本まで、いろんなレベルの英語がありますが、無理をせず今の自分でも割りに簡単と感じるレベルの中から興味の持てる内容の洋書を読むと、とても楽しいですよ。また本は持ち歩きしやすいことから、いつもカバンに入れて、ちょっとした隙間時間にさっとカバンから取り出して読めるのがいいですね。
洋書を読むときには、辞書は使いません。いちいち辞書をひきながら読んでいたのでは、面白くありません。辞書がないと全くわからない本に手を出すこと自体、無理があります。それに読書するときに辞書をひきながらでは、読書が進まず疲れて嫌になってしまいます。とにかく疲れない、飽きない、嫌にならないで、継続できることが最低限必要なのです。辞書を引かなくても楽しく読めるほど、簡単な洋書を選ぶことがコツです。
辞書を使わずに英語を大量に読むことが可能な方法、それが洋書多読(法)です。ところで初心者の方でも、辞書を使わずに読める洋書があるって、ご存知ですか。
英語が苦手でも、辞書を使わずに読める洋書とは
英語が苦手でも、辞書を使わずに読める洋書とは、短い文書で、易しい表現を使った絵本です。絵本なので、意味がわからないときは、絵が理解を助けてくれることがあります。私がおすすめする洋書をご紹介します。詳細はリンクをたどってください。
Kindleのおすすめ洋書や、無料で洋書を読んだり朗読を聞けるおすすめサイトの紹介もあります。
Kindleなどの電子書籍は読まないという方には、2014年6月に出版した『ピーターラビットで学ぶ!英語イメージ楽読術』(木村あゆみ著、主婦の友社)がおすすめです。英語おちこぼれだった私の、英語読解術のノウハウが詰まっています。下記リンクで『ピーターラビットで学ぶ!英語イメージ楽読術』の詳細がわかります。
英語力を伸ばす効果的な読み方(黙読)
ではおすすめの洋書の効果的な読み方(黙読)を簡単に説明します。
1.辞書は使いません。
2.知らない単語は飛ばして読みます。
3.発音は気にしなくてもよいです。
4.日本語に訳さないで英文を前から後ろへ読みます。(前に戻って読まない)
以上を守りながら読みましょう。大丈夫です。これらができるほど、易しい絵本ですから。この時点で、英語で書かれた内容を100%理解する必要はありません。半分ぐらいわかればOKとしましょう。易しい洋書をたくさん読んでいくうちに、理解度は徐々に上がっていきます。
上記1から4が気持ち悪いと感じたり、これで本当に英語が伸びるのか疑問に思うかもしれません。しかし辞書を使ったり、和訳しなければわかった気にならないのは、知らず知らずのうちに、習慣として身についたクセのようなものなのです。意識して上記1から4を守っていれば、気持ち悪さも不安もなくなってきます。
このような読み方ができるようにならないと、たくさんの英語を読むことが大変根性のいる苦痛な作業になってしまいます。
英語を読むことに慣れたら、声に出す練習をする
今まで述べてきた方法で英語が読めるようになったとしても、まだ発音はカタカナ。これを矯正していきましょう。
発音に関する本がたくさん出ていますが、私はそういう本を読んでも、また人から発音の仕方を教えてもらっても、それだけでは上達しないと思っています。なぜなら、発音は自分の体(口の動きや呼吸など)を使わなくてはならないからです。
例えるなら、自転車に乗れるようになるためには、乗り方の本や、乗り方を教えてもらっただけでは乗れるようにはならないのと同じです。教えてもらったほうが、コツをつかむのは早いかもしれまん。しかし、自分で練習し、試行錯誤して失敗して、また練習して完全に自分のモノにしなければ、上達しないのです。
ここでも継続が大事だとわかります。継続するためには、何度も書きますが楽しむことですね。それともう一つ、練習する時間を確保する工夫をすることです。無理をするのはいけません。がんばっていたのでは、長続きしません。呼吸するかのように、毎日の自分自身の一部となるように、練習を生活の一部に組み込んでいきます。
例えば通勤時間を洋書を読む時間に当てる、歩きながら又は家事をしながらシャドーイング(次の項で説明します)や英語を聴く時間に当てるなどです。発音練習(シャドーイング)は、電車の中などで人に聞かれるのが恥ずかしい場合には、口パクでもOKです。マスクをしていれば、パクパク口を動かしていてもわかりませんよ。ただし必ず声に出す時間は、短くてもいいので確保しましょう。
英語をマスターするのに、忙しいことは言い訳にはなりません!その気になれば、いくらでも練習時間が作れます!
その一つが何かしながらの「ながらシャドーイング」です。歩きながら、洗濯・掃除・片付け・料理などの家事をしながら、電車に乗りながら、車の運転をしながらなど、いくらでも耳と口が空いている時間があるのです。どんなに忙しくても、生活で必要な(上記のような)行為は必ずあります。そこに目をつけて耳だけ、あるいは耳と口だけを動かして練習に充てます。
初めはシャドーイングで発音矯正する
さて、声に出す練習ですが、初めはシャドーイングがおすすめです。シャドーイングとは、英語の音声の後に、英文を見ないで数秒後を影のようについていくことをいいます。
シャドーイングは、発音をネイティブに近づけてくれる効果があります。しかし効果を出すためには、コツがあります。闇雲にシャドーイングをいくら続けても、方法が間違っていたら発音矯正の効果は出ません。
そのコツを少しだけお伝えします。それは、
「英語の一言一言を追うのではなく、雰囲気を真似ること」
まずはここから始めましょう。ここから発音矯正が始まるのです。
発音が良くなったら、音読が楽しくなる!
正しいシャドーイングを飽きるほどたくさんしてみてください。気がつくとあなたの発音は、かなり良くなっていることと思います。
英語がスラスラ口から飛び出し、目は先へ先と動いていく。口がそれを追いかける。目の動きと同時に英語が理解できている。だから声に出すときに、感情を込めることができ、自然に抑揚がついています。
もちろん、黙読からシャドーイング、音読というステップを踏んだとしても、音読を始めた途端に、流暢に読めるわけではありません。練習あるのみです。練習といっても、苦しい練習になってはいけません。楽しみましょう。そのためにはがんばらないことです。
がんばることが悪いことと言うのではありません。がんばらなければできないことは、長続きしないのです。だからがんばらなくてもできる楽しいことを、少しずつ続けましょう。だんだん楽しくなって、気が付くとシャドーイング漬けになっていた、というのは私の経験です。そうなると楽しくてやめられなくなるのです。
ここまできて、やっと音読の効果が期待できるのです。昨日今日ちょっとやったからといって、発音が良くなるわけはありません。言い方を変えると、楽しんで思う存分音読の練習をすれば発音だけではなく、英語力も自然に伸びてきます。
楽しいから、がんばらなくても続けることができて、さらに英語力が伸びていくのです。
私の中学時代の音読と、現在の音読を聞いてみましょう
英語が超苦手だった中学時代の教科書音読の音声
20秒ほどですが、ものすごいカタカナの発音です。これでもかなり練習した記憶があります。英語が苦手で、大嫌いだったときの時代です。
中学時代から二十数年後、シャドーイングで発音矯正途中の音声
素材は多聴多読マガジンVol.8のトラック26の一部です。
発音だけでも何とかしようと思い、シャドーイングによる発音矯正を始めた頃の音声です。耳から入る英語音声だけを頼りに、同じ音をそのまま口から出す練習をひたすら続けました。英語で何を言っているか、きちんと英文が再現できるかは、こだわってはいけません。こだわるのは「音」だけ。耳から入った音と同じ音を、思考を介さずに条件反射的に口から発する練習をひたすら積みました。
直近の私の絵本朗読の音声 『Alice’s Adventures in Wonderland』
以前は直近ということで、ピーターラビットのお話を朗読した音声を紹介していました。あれから2年半ほどが経過し、それなりに成長したと思ったので、また新たに録音しなおしました。ピーターラビットの朗読音声は、ちょっと聞いてみるにしては長かったので、今回は1分程度の長さにしました。Chapter 1の触りだけです。
録音して聞いてみて思ったのは、英語を読む練習だけ、発音の練習だけしていてもダメなんだということ。絵本の読み聞かせや朗読をする技術というのは、言語が何であれ基本は同じということです。
私はわが子が昨年の4月に小学校へ入学したと同時に、子どもが通う小学校へ読み聞かせのボランティアとして参加しています。学校と家とで子どもに読み聞かせる日本語の絵本は、昨年4月から数えるとかなりの冊数になりました。
この経験は多少なりとも英語の読み聞かせ、朗読に役立っているのではないかと考えています。これからももっともっと練習して、上手くなりたいと思います!
終わりに
音読で英語力を伸ばすために、発音をある程度正しく身に付けようということを書いてきました。しかし音読しないと英語力が伸びないとか、発音が正しくないと、英語が使えないわけではありません。ネイティブ並みの発音にこだわらなくてもよいのです。ただ、カタカナ英語よりもスムーズに口にすることができるだけのこと、リズムをつかむと英語が聞き取りやすくなったり覚えやすくなるだけのことです。
日本人らしいアクセントが残っているもの、自分らしさです。世界には英語を母国語とする人よりも、外国語として身に付けて英語で交流している人のほうが多いのですから。