洋書多読で得られる力とは

英語(洋書)をたくさん読むとどうなるか

洋書多読の効果については様々な意見がありますが、中にはそれほどの量を読んでいないのにもかかわらず、効果なしと断定している人もいます。これはとてももったいないことだし、残念なことです。

それでも多読の効果については、非常に多くの方が高い関心を持っているようにも感じます。

そこで今回は、おそらく多読の効果を語るに充分と思えるほどの量を読んでいる私が、実際得られた力、効果についてまとめたいと思います。

英語をたくさん読むこと(洋書の多読)の効用

英語教師でもあった夏目漱石も、英語の習得に多読をすすめていました。

多読とは文字通りたくさん読むことですが、たくさんとはいったいどれぐらいの量をいうのでしょうか。たくさんは人によって感じ方が違うと思いますし、多読を始める前の英語力によっても変わると思います。

私は中学1年生の夏あたりから、すでに英語の落ちこぼれ。大人になるまで英語が大嫌いで避けてきました。あることをきっかけに英語の勉強を再開しましたが、中級レベルにようやく入ったぐらいの程度までは達することができましたが、そこから先への進歩はなかなかありませんでした。

その後、私は英語の多読をはじめました。始めは赤ちゃん絵本すら、満足に読めませんでした。そんな私が効果を感じられるようになったときには、どれぐらいの量を読んでいたのかを参考にしていただけると幸いです。

多読をどれぐらいの量こなすと、効果が実感できるか

とにかく私たちは英語に触れる量も時間も、少なすぎるのです。

学校の授業時間だけでは全然足りません。最近は母国語での読書すら減ってきているようですが、たくさん本を読めば知識が豊富になる、語彙や表現力が豊かになる、読解力がつくということは、一般的に理解されていると思います。英語も言語なので、同じなのです。

母国語の読書と違う点は、自分の語彙レベルよりもかなり低いレベルから、文章も平易と感じる読み物から始めることです。そうすることで、外国語を読むというストレスが少し緩和されます。何よりある程度の内容がさっと読んで理解できたら、嬉しいものです。

多読を成功させる鍵は、自分にとって易しめの、読むことがそれほど苦痛に感じずに、かつ辞書を引かなくても読めそうな英語をたくさん読むことです。これを徹底して続けると、すごいことが起きるのです。核心に迫る前に、大事な点を明確にしておきます。

辞書を引かなくても読めそうとは

英語表現が平易であり、1ページにつき知らない単語が数%ぐらいの洋書のことです。例えば1ページに語数が100語あるとすると、知らない単語が2-3個、内容によっては多くても5個までのものがおすすめです。

たくさん読むとは

効用と感じられるほどの量は、個人差はありますが読む語数でいえば300万語ぐらいからだと思います。具体的に表現すると、『The Tale of Peter Rabbit』は総語数900語ですが、この程度の洋書がおよそ3,400冊分ということになります。ハリーポッターの第1巻『Harry Potter and the Philosopher’s Stone』だと総語数77,000語なので、およそ39冊分になります。

いかがですか?巷で多読は効果がないと書いているサイトで、これぐらい読んだ結果、そう書いているサイトはありましたか?

この数字にひるまないでください!

この数字を見て、300万語なんて読めない!と思わないでください。

効果が感じられる分量は、個人差が大きいです。300万語というのは、私のように英語が全くダメな上に、洋書の多読以外に何も英語の勉強をしなかった場合を想定した数字です。

私は300万語読み終えた時点では、単語を覚える努力も、文法の勉強も、何もしませんでした。本当に全く何もしていませんでした。辞書も引かず、わからないところは飛ばして楽しく読んでいただけです。家で読むときはごろ寝して読むのが大好きでした。眠気に誘われたら、そのまま眠っていました。洋書を読んだ後で、わからなかったところを調べることもしませんでした。完全に放置です。それぐらい、私は英語の勉強が大嫌いでした。

それでも洋書を読んで楽しむことはできました。読書家でもなかったのにです。洋書の多読を始めるまでは、日本語の本なんて1冊を読み通せた記憶があまりないくらいです。大人になってからも、1年間で読んだ本は?と言われると、0冊・・・?(チーン)というレベルでした。

読書習慣がなくても、やり方次第で洋書の多読にハマるということです。私は子どものころからあまり本を読まなかったのですが、多読を始めてから邦訳本を読まずに原書で絵本や児童書をたくさん読みました。それが私にはとても新鮮で、こんな楽しい本の存在を知らずに大人になったことをひどく悔やみました。

そしてもちろん、英語の本(洋書)が好きになってからは、日本語の本もたくさん読むようになりました。英語ほどは読んでいませんが・・・多分。

私が洋書の多読を始めたのは2005年、この記事を書いているのは2014年ですから、約9年間洋書の多読を続けています。9年前、私は38歳でした。多読のスピードは速くありませんでした。ゆっくりペースです。

多読を始めてから、読んだ語数は今のところまだ600万語程度です。読んだ冊数約1,600冊です。実は洋書の多読歴としては、この数字ではまだまだひよっこなんですよ。

さて、肝心の英語をたくさん読むこと(洋書の多読)の効用については、もう少し説明が必要です。

まずはこのサイトで紹介する洋書を読んでみてください

ピンときたなら、即始めるしかありません。私がそうでした。書店をぶらついていて、ふと何気なく手にした『100万語 多読入門』という本にビビビときたので買って帰り、家につくなり読みふけり、そのまま多読生活に突入しました。現在もまだ継続中です。<この記事を編集・加筆している2017年3月17日現在も、継続中です。読んだ洋書はおよそ2,500冊。>

主体性が大事☆英語は教えてもらうのではなく、自分で学ぶと上手くいく

自分が興味を持ったことをどんどんやっていくのです。洋書の多読なら、面白いと思った洋書をどんどん読むのです。わからない英語を調べることが面倒、億劫、嫌ならば、やらなくてもいいのです。とにかく好きなことに夢中になってください。道はそこから開けて行きます。

英語の勉強が大嫌いだった私は、洋書の多読を始めて5-6年後、英語の勉強が好きになりました。全て自分が主体で英語を進めていくのです。できることから始めましょう。そうすれば自分を知ることができ、自分に合う勉強スタイルがわかるようになります。それからでも、全然遅くはありません。

辛い努力を日々重ね、挫折しながら英語の山道を登るより、好きなことを見つけて夢中になる方が、結果的には見晴しの良いところまで早く登ることができますよ。

まずは一歩を踏み出そう

このサイトの上部メニューバーに、「おすすめ洋書」のメニューがあります。様々なレベル、様々なジャンルの洋書、紙の洋書、Kindle 洋書などを紹介していますので、この中からお好みの洋書を探してすぐにでも始めましょう!行動する前の悩みや心配事よりも、行動した後の悩みや心配事のほうが現実的であり、夢や目標に近づける可能性がアップします。

英語の本(洋書)をたくさん読むと起こるすごいこととは

読めるようになるとリスニングが飛躍的に伸びる

冒頭からずいぶん引っ張りましたが、英語(洋書)をたくさん読むと、リスニングがかなり伸びます。理由はとても簡単です。

私がいう「読む」とは、私たちが学校の英語の授業で行っていた読み方とは全く違います。

まず日本語には極力訳しません。イメージで理解します。日本語に訳さないで読むということは、英語を文頭から読んで、そのままの語順で理解するということですね。ほとんどの日本人は、これが難しいことだと感じます。けれども実際簡単な洋書で訓練すると誰にでもわかります。思っているよりも簡単です。詳しくは拙著『ピーターラビットで学ぶ!英語イメージ楽読術』をご覧ください。

思ったよりも簡単ではありますが、すぐにできるようにはなりません。すぐにできるようになるほど薄っぺらなものではないからです。裏を返せば、これはものすごい価値のあるものということです。

簡単だけれども、それなりに時間がかかります。しかしこの英語読解術(「英語イメージ楽読術」)を手に入れると、英単語や文法から英文を一生懸命読み解こうとして頑張っているのに、どうしても理解できない経験(辛い!)という気持ちと、永遠にさよならすることができます。読むスピードも格段にアップします。そしてここが肝心なところです。リスニング力が飛躍的にアップします。

もうおわかりだと思いますが、英語を前から読んで一瞬で(イメージで)理解できるということは、耳に入ってくる英語を頭からすばやく理解できるということになるからです。でもここで一つ、疑問が湧いてくるかもしれません。

読むだけでは発音が聞き取れないのでは?

そうです。そこは重要なポイントです。読めるようになると、徐々に英語の音声も聞くようにしてください。始めは読んだことのある洋書の朗読音声が最適です。一度読んだことのある洋書の英語音声は、とても聞きやすいし楽しいですよ。これを多読に対して多聴といいます。たくさん英語を聴きましょう。そのうちに音とスペルがつながります。

下手に発音記号を勉強するよりも、ずっと効果的です。なぜなら発音記号で発音を理解しようとするところで、それは理屈で発音を理解しようとしているからです。多読と多聴で身につけた発音は、身体、感覚で覚えるものです。耳が鍛えられるので、聴いたまま、あるいは非常に近い音が出せるようになります。理屈で理解しているのではないので、習得のスピードは速いです。

わからない単語も文脈からラクラク推測可能になる

知らない単語が出てきても、文脈からそのわからない単語の意味を推測する力がつきます。まだ洋書をそれほどの語数読んでいない人には、難しく感じるかもしれません。

しかしイメージで英語が理解できるようになると、不思議なことにわからない単語があっても、イメージが理解を助けてくれます。わからないことに気がつかないほど、自然にわかってしまうから不思議です。

でもこれは何も不思議なことはないのです。私たちの母国語である日本語では、普通にできていることだからです。会話や読書などで知らない言葉に出会っても、文脈から推測して理解しているのです。それと同じことを、英語でもできるようになるということですね。

ここまで来ると、英語(洋書)を読むことが苦痛ではなくなります。するとどんどん読めて、さらに楽しくなってきます。

思い出してください。あなたがいま身につけている日本語の語彙力は、辞書を調べて身につけたものばかりですか?大半がそうではないはずです。何か日本語を読んだり聞いたりしているうちに、自然に身についたものではないですか?「それと同じことを、違う言語(英語)ではできない」という理由を見つけることの方が難しいと思いませんか。

楽しく継続できることのすごさ

「さらに楽しくなります」と、上でさらっと書いていますが、実はこれもすごいことなのです。

なぜなら、英語は継続が命だからです。続けなければ英語はどんどん忘れていきます。毎日英語に触れることこそが、英語上達の絶対条件です。これができなければ、英語の上達はありません!

英語(洋書)がどんどん読めると楽しいですよね。するとずっと続けていられます。継続することは、楽しまなけれは苦行です。とても頑張り屋さんは、苦しくても続けられるかもしれません。けれども楽しいと感じることで、脳が活性化し、英語がもっともっと頭に入りやすくなります。何より、苦しいよりも楽しい方がいいじゃないですか。

お待たせしました。「英語をたくさん読むこと(洋書の多読)の効用」を、だらだらとまとまりなく書いてきましたが、一言で言うと

英語(洋書)をたくさん読むことで、楽しみながら効率的に英語が習得できるメカニズムが出来上がる

ということです。

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